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家族信託 基本と応用Q&A

委託者とは何ですか?
委託者とは、信託する財産の所有者で、家族信託を設定する人のことです。
受託者とは何ですか?

受託者とは、委託者から財産の管理や運用を託された人のことです。

信託の目的に従って、財産の管理等を行い、財産から生まれる利益を受益者に与えます。

受益者とは何ですか?
受益者とは、家族信託された財産から生じる利益を受け取る人のことです。
自益信託とは何ですか?

自益信託とは、委託者と受益者が同一人物で設定された信託のことです。

一般的な家族信託は、自益信託の形でスタートすることが多いです。

他益信託とは何ですか?

他益信託とは、委託者と受託者が異なる人物で設定された信託のことです。

他益信託をする場合、贈与税などの税金が発生する可能性があるので、注意が必要です。

受益権とは何ですか?

受益権とは、受益者がもっている権利のことで、信託した財産から生じた利益を受け取る権利などのことです。

受益権の具体例としては、収益不動産から生じる賃料収入を受け取る権利などがあげられます。

信託行為とは何ですか?

信託行為」とは、信託を設定するための法律行為のことをいいます。

信託を設定する方法は、次の3つのがあります。

  • 契約で設定(信託契約)
  • 遺言で設定(遺言信託)
  • 自ら受託者となる意思表示を宣言して設定(自己信託)
家族信託をするためにはどうしたらよいですか?

家族信託を利用するためには、次の3つの方法から手続きの方法を選ぶことになります。

  • 信託契約(契約をすること)
  • 遺言(遺言を書くこと)
  • 信託宣言(信託を利用ことを宣言することです)

①の信託契約は、委託者と受託者が信託契約を締結することで効力が生じます。

対金融機関との調整がある場合は、公正証書で作成されることが多いです。

②の遺言は、遺言に信託を設定することを書いておくことで、相続が発生した際に信託の効力が生じます。

なお、効力の発生が、相続開始と同時のため、実際に信託が設定されたかどうかについて、委託者本人が確認することはできません。

③の信託宣言とは、委託者が受託者となる信託で、公正証書で作成することが多いです。

自分のお金を、別の財布に移して管理するイメージです。

信託はいつから始まりますか?

信託契約を締結した場合は、契約の中で始期を設けなければ、すぐに信託の効力が生じます。

遺言で信託を設定した場合は、遺言を書いた方が亡くなった時に効力が発生します。

信託宣言の場合は、公正証書で作成した場合はその作成日、それ以外の文書で作成した場合は、受益者へ確定日付のある内容証明郵便などで、①信託がされた旨と②信託の内容を通知した日に効力が生じます。

信託財産とは何ですか? 誰のものですか?

信託財産とは、財産の所有者が信託のために受託者に引渡した財産です。

この信託財産は、形式的には受託者に名義が変わりますが、実質は受益者のものです。

税務上も、受益権に財産の価値があるものとして処理されます。

信託の目的とは何ですか?

信託の目的とは、「なぜ信託を設定するのか」という家族信託を利用する目的のことです。

例えば、信託を設定するにあたって「長男に財産管理をしっかり行ってもらって、老後を安心して過ごしたい」という思いがあれば、その思いを実現するために目的を定めます。

なお、信託の目的は、受託者の行動の指針となりますので、具体的かつ明確であることが大切です。

信託できる財産は何ですか?また信託できない財産は何ですか?

財産のうち、基本的に次の3つの要件をすべて満たしてしているものであれば、信託ができます。

  • 金銭的価値に置き換えられるもの
  • 財産自体の価値がプラスのもの
  • 委託者の財産から切り離せるもの
例 お金・不動産・有価証券・特許権など

逆に、次の3つの要件の1つにでも該当してしまうものは、基本的に信託できない財産です。

  • 金銭的な価値に置き換えられないもの
  • 財産自体の価値がマイナスなもの
  • 委託者の財産から切り離せないもの

ここで1つ注意点があります。

不動産を信託する場合に、借入れに基づく抵当権が設定されている場合があります。

この場合、借入れ(債務)はマイナスの財産ですから、信託できない財産にあたります。

つまり、不動産を信託できても、借入れは信託から外れてしまうことになります。
これでは、かえって安心ができないという方も多いと思います。

ですから、実務上は、借入れについては、受託者が信託と同時に債務引受けをするケースが多く、債務引受けをすることで、実質的に借入も信託財産に組込んだ状況と同じような扱いになります。

しかし、借入れが残っているローン付き不動産は、金融機関によっても信託に対する取扱いが異なりますので、必ず事前に金融機関との打合わせをしてから信託を設定しましょう。

遺言代用信託とは何ですか?
遺言代用信託とは、信託契約等の中で、委託者が死亡した場合の受益者または残余財産の帰属先をあらかじめ決めておくことで、遺言と同じような効果が生じさせる信託のことです。

なお、金融機関が提供している「遺言代用信託」という商品は、前述のものとは異なり、生前に金融機関へ金銭を預け入れておき、ご本人が亡くなった場合に、残された家族の方などが、一時金や定期的な金銭の交付を受けられるものをいいます。

倒産隔離機能とは何ですか?
倒産隔離機能とは、信託した財産について、信託の登記や登録、その他外形上の分別管理がされた場合、その後に委託者または受託者が破産をした場合であっても、その信託財産については、差し押さえたり破産財団に組み込んだりすることはできません。
受託者になるための資格は何ですか?

受託者になるための資格は、下記に該当しない個人・法人(株式会社など)であればだれでもなることができます。

なお、受託者である個人が破産した場合は、信託契約の内容で別段の定めをしていない限り、受託者の任務は終了してしまいます。

法人も破産をしてしまった場合は、法人は解散することになるので、受託者の任務は終了してしまいます。

  • 未成年者
  • 成年被後見人
  • 被保佐人
信託契約で決めた受託者の義務を、第3者に委託することはできますか?

契約で第3者に委託できる旨を定めていた場合はもちろん、委託を禁止していた場合であってもやむを得ない場合は可能です。

また、特段委託について契約で触れていないケースでは、相当と認められる場合は可能です。

受託者の任務はどんなときに終了しますか?

受託者の任務は、次の場合に終了します。

  • 受託者(個人)が死亡した場合
  • 受託者(個人)が成年後見又は保佐開始の審判を受けた場合
  • 受託者が破産開始の決定を受けた場合
    ただし、信託契約で終了しない定めを置くこともできます。
  • 受託者(法人)が合併以外の理由により解散した場合
  • 受託者が辞任をした場合
  • 受託者が解任された場合
  • 信託契約により定めた事由が発生した場合
  • 信託の清算が結了した場合
受託者になるとどのような義務が発生しますか?

受託者になった場合は「委託者の想いが込められた信託契約」の内容に基づいて信託事務(任された管理など)をする義務が生じます。

この信託事務については、特段定めがない場合は、善良な管理者の注意をもって行わなければなりませんが、契約内容で責任を軽くすることもできます。

また、信託事務は忠実に行い、自身(受託者)の個人財産と信託財産をしっかりと分別管理する義務があります。

そのほか、委託者から求められた場合に信託事務の状況を報告することや、信託財産に関する帳簿を作成し、原則1年に1回受益者に報告する義務があります。

信託財産責任負担債務とは何ですか?

信託財産責任負担債務とは、信託財産の中から支払わなければいけない債務のことです。

信託財産責任負担債務の具体的なものとしては、以下のものなどがあげられます。

  • 受託者が受益者に対して負う給付債務(受益債権)
  • 信託する不動産にそれ以前から設定されている抵当権など
  • 委託者に対する債権のうち、信託契約の中で信託財産から支払う「信託財産責任負担債務」として引受けた場合の当該債権
  • 信託契約の内容として、受託者に金銭の借入れをする権限がある場合に、当該権限をもとに行った借入れ
受託者が死亡した場合、信託自体はどうなりますか?

受託者が死亡した場合は、その地位は相続の対象にはなりません。

つまり、受託者の配偶者や子供が、自動的に受託者にならないということです。

この場合は、信託契約で定められている人がその就任を承諾することで、後任の受託者になります。

なお、後任の受託者が契約で決められていない場合は、亡くなった受託者の相続人は、受益者に死亡により受託者の任務が終了したことを通知するほか、必要に応じて信託財産の保管や引継ぎをしなければなりません。

信託財産で借入を返済することができなくなった場合、受託者の財産まで責任は及びますか?

次の債務については、信託財産で支払うことができない場合、受託者の財産で支払う必要があります。

  • 信託契約以前に、信託された不動産に設定された抵当権にかかる債務
  • 信託契約前の委託者の借入れのうち、受託者が債務引受けをした債務
  • 信託契約の内容として、受託者に金銭の借入れをする権限がある場合に、当該権限をもとに行った借入れ
遺言信託で受託者に指定された場合は、拒否はできないのでしょうか?

遺言信託による受託者の指定は、かならず引受ける義務はありません。

当初の受託者が引き受けなかった場合は、委託者の相続人または遺言執行者などの利害関係を有する方の申し立てにより、裁判所が受託者を選任することになります。

受託者の責任とは?

受託者の責任は、契約で定められた任務を怠った場合の損失の補填や原状回復義務などがあげられます。

受託者が任務を行ったことで、信託財産が損失を受けた場合は、受益者はその損失を補填するように請求ができます。

また、信託財産を変更(建物を自分の好きなようにリフォームなど)した場合は、受益者は元の形に戻すよう請求ができます。

なお、受益者が当該責任を免除した場合は、上記の責任を免除されます。

受託者は信託の報酬を受け取ることが可能でしょうか?

受託者は、委託者との信託契約などの中で、報酬を受け取れることが定められている場合は、報酬を受け取ることが可能です。(信託報酬)

ちなみに、具体的な報酬の金額や算出式が定められていない場合は、受託者は、報酬の相当額を算出した根拠を受益者に通知しなければいけません。